管理栄養士に必要なスキルとそれらを使ってできることをご紹介

管理栄養士のスキル

管理栄養士として仕事をするためには資格や知識が必要なことはもちろんですが、さまざまな能力やスキルを身につけることで、管理栄養士としての活躍の場がさらに広がることになるでしょう。
今回は管理栄養士として持っておきたい能力やスキルについてご紹介いたします。

管理栄養士のスキル

下記にて、管理栄養士に求められるスキルをご説明します。

コミュニケーション能力

多様な職域において働く管理栄養士の職務の多くは、一人では完結できないものです。
そのため、自分と自分以外を結びつけるコミュニケーション能力はとても大切な要素となります。
管理栄養士は業務に関わる人々に指示を出し、仕事を動かしていく役割を担うことが多くあります。
指示の出し方、伝え方などは非常に重要で、内容が的確に伝わるということはもちろん、業務に関わるメンバーとの信頼関係構築や栄養指導の対象者に与える効果にも大きく影響します。
例えば、栄養教育を効果的に実施する際には、関連組織と栄養教育にかかわる人々とのチームワークが円滑に運ぶような組織づくりをし、学習者や学習者を取り巻く人々と良好なコミュニケーションを形成することが必要です。
また、栄養カウンセリングは、対象者との間に良好な関係を築くというコミュニケーションを通じて成立する営みです。
その他にも、研究論文などの専門的な文章の作成能力やプレゼンテーション能力、対象者の行動を変容するための効果的な教育・カウンセリング能力、グループ活動に積極的にかかわり、他の保険医療従事者や補助者と協力関係を築く能力も大切です。
このように、他者との協働を常に意識し、高いマネジメント力を発揮するためには、知識や技術だけではなく、コミュニケーション能力を身につけることが大切になります。

メニューを考える企画力

管理栄養士は栄養の側面から食生活にかかわるプロフェッショナルです。
しかし、食生活の本質として「美味しい」「楽しい」「食欲が湧く」など味わいや食事が人々の喜びの場を作る、といった側面を意識してメニューを考えることも重要なスキルです。
そのためには、家庭料理だけでなく日本料理、西洋料理、中国料理、エスニック料理、ハラール料理など世界中の料理の知識を持ち、料理にある背景や歴史など食文化を理解することも必要です。
また、大規模な給食管理を行う管理栄養士は食材や調理にかかる費用面などの経済性はもちろん、食品ロスや地産地消、フードマイレージなど地球環境の保全につながる考えを持っておくことも大切です。
病院などの施設においては、入院中の患者様の状況に応じた栄養ケアができる食事を提供することが第一に求められます。ライフステージ別、病態別の献立作成能力、食材の特性を活かし、塩分、エネルギー、糖質、脂質の脂肪酸の構成などを理解し、コントロールできる能力など、メニューを考える企画力は管理栄養士にとって非常に大切なスキルと言えるでしょう。

調理技術も身につける

管理栄養士の活躍の場は多岐に渡り、それゆえに幅広い実践力が求められます。
例えば、保育園で働く管理栄養士の主な仕事として「給食管理と調理業務」があります。
これは、保育園で子ども達に提供する食事やおやつの献立作成から食材の発注、予算管理などとともに調理など厨房での業務も含まれます。食品成分表を使って、調味料の計算や栄養価計算ができる、といった管理栄養士としての知識はもちろん、調理技術といった実践力も必要となってくるのです。
また、病院などの施設では病態別の治療食を作るために栄養素を保持あるいは除去できる加熱法や、患者様が食べやすいようにミキサー食、きざみ食などライフステージ別の調理方法、その他にも、包丁技能を向上させることで、嚥下しやすい形態への切砕や、食欲を促進する飾り切りなどの技術も身につけることも大切です。

さまざまな職種で活かせる実践力とマネジメント能力

ここまでご紹介してきたように、管理栄養士の職務を行うには、資格や知識だけではなく、さまざまな能力・スキルが必要となります。
それだけに、管理栄養士はさまざまな職域において実践力を発揮できるのです。
また、管理栄養士はさまざまな職種の人々と協力・連携しながら職務にあたることになりますが、その中で管理栄養士は、業務を推進するためのリーダー的な役割を担う場合が多くあり、そのためのマネジメント能力も必要になってきます。
こういった管理栄養士の実践力・マネジメント能力は、地域社会の健康状態の維持、保護、改善を目的とする地域保健、企業において労働者の健康問題の多様化・深刻化を改善するための産業保健、学校において児童生徒等などの健康の保持増進を図る学校保健、学校やさまざまな施設での給食経営管理、病院や老人福祉施設、児童福祉施設など社会のあらゆる現場で必要とされています。

身に付けた能力でできること

身に付けた能力でできること

管理栄養士としての能力を生かして、活躍できるフィールドをご紹介します。

食育

食育とは、子どもたちに対して健康的な食習慣と、食に関する知識を身に付けてもらうことを目的とした教育です。
そのためには、食材や料理に対する興味関心を高め、自立した正しい食事ができるように伝える必要があります。
そこで、小学校などで働く管理栄養士は、子どもたちの成長を支えるための給食管理を行うだけではなく、「給食だより」を作成したり、教職員と連携して食育の授業に参加したりすることもあります。
また、教育現場では教育職員として働く栄養教諭が活躍しています。栄養教諭は、食育の授業や実践を通じて、栄養バランスの重要性や食に関する指導を行います。食事マナーや食事習慣の指導、調理や配膳の実習、野菜栽培の体験授業など、多岐にわたる活動を通して、子どもたちの食育に貢献しています。

栄養指導

栄養指導とは、食と栄養のスペシャリストである管理栄養士が栄養学の専門的な観点から行う指導です。栄養指導は健康の維持・増進や病気の回復に深く影響するため、管理栄養士が果たす役割は非常に大きく、栄養学に関する確かな知識が必要です。
特に、健康に不安や問題を抱えている人に対しては、食を通じての健康維持・回復を目的とした指導になります。対象者ひとりひとりの状況を把握し、その方の疾患や状況に応じた適切な食事内容や量、食材の選択や調理方法、また食習慣の改善など、さまざまな観点から栄養指導を行います。
食習慣の改善は簡単ではなく、また継続していかなければ十分な効果は望めません。そのため、栄養指導の際には短期だけではなく中・長期的な計画が求められます。

給食の献立立案

学校などの特定給食施設において、管理栄養士は給食の献立を立案します。
給食は学校だけではなく、病院や介護施設などでも実施されるため、活躍できるフィールドは多岐にわたります。
この特定給食施設における献立立案とは、対象者に栄養計画・食事計画を料理という形で提供することを指し、対象者の健康状態、生活習慣や嗜好などに配慮しながら、必要な栄養素を満たす給食を提供するための品質管理を行います。献立立案は管理栄養士にとって非常に重要なスキルと言えるでしょう。

特定保健指導

特定保健指導は通常の栄養指導とは異なり、生活習慣病の発症リスクが高い方、いわゆる「メタボリックシンドローム」と診断された方に対して行われる指導です。
メタボリックシンドロームは生活習慣病の原因となるものであることから、近年では特定保健指導が重要視されるようになりました。
特定保健指導には食事コントロールや食習慣を指導する「栄養指導」と、日常生活において歩行や運動方法をアドバイスする「運動指導」があります。
生活習慣を改善するための意識を高めるには、対象者の健康状態を理解し、信頼関係を維持し、対象者がモチベーションを維持できるように努めることが重要です。
そのためには栄養学の知識はもちろん、コミュニケーション能力やカウンセリング能力が必要となります。

商品企画

管理栄養士は患者様や子どもたちへの栄養指導や給食の献立立案だけではなく、一般企業において栄養学の知識を活かし、健康や美容に寄与する食品やサプリメントなど、市場に出回る商品の企画・開発にも携わります。
管理栄養士の専門知識は、商品の栄養価や効果を評価し、消費者の健康ニーズに合った製品を生み出す上で不可欠です。
また、栄養学の側面だけではなく、市場におけるトレンドや健康志向の変化を的確に捉え、企業の戦略立案に貢献する必要があります。そのため、商品開発においては、栄養学の専門知識に基づき、商品の栄養バランスや効果を最適化することだけではなく、企画から販売戦略、製造や保管段階における品質管理、安全性の確保にも積極的に関与することが求められます。

スポーツ分野で働く

スポーツ分野で活躍する管理栄養士は、アスリートの健康維持だけではなく、パフォーマンスの向上も検討する必要があります。
そのためには、アスリート個人の特性を観察・研究しつつ、食の観点から長所を伸ばしたり短所を改善したりできる献立の立案が求められます。
スポーツ分野に関わる管理栄養士の活動形態は、企業や大学への所属やフリーでの活動などさまざまです。レシピ本や競技力向上のノウハウ本の発行、中にはトップアスリートと契約して競技生活を支える方や、スポーツジムに所属し、栄養の指導や食事メニューの考案を行うなど、一般の方の健康増進に寄与する管理栄養士もいらっしゃいます。

おわりに

管理栄養士には資格・知識はもちろんですが、その職務を遂行するために必要な能力やスキルをご紹介いたしました。
多くの能力が求められる管理栄養士ですが、それだけに社会のあらゆる場面で必要とされているのです。
あなたも、さまざまな分野で活躍することができる管理栄養士をめざしてみませんか。

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