小学校教諭の採用状況とは？教師不足と呼ばれる現状について解説

小学校教諭は、小学1年生から6年生までの児童に対して、国語や算数等すべての教科や学校行事などの特別活動、登下校や給食といった生活上の指導を行う職業です。仕事に就くには、法令にもとづく免許の取得が必要です。

小学校教諭の採用状況はどのようになっていて、今後どのように変化するのでしょうか。
本記事では、小学校教諭の採用状況について、教師不足と呼ばれる現状とあわせて解説します。

小学校教諭の採用状況

文部科学省の調査によると、
公立小学校・小学校教諭の採用者数はこの20年間で大幅に増加しています。平成12年度に3,683人であった採用者数は増加し続け、令和に入ってからピークダウンしたものの、令和3年度においても16,440人と平成12年度と比較して５倍近くに増えたことになります。^※1
これは、この期間にかつての団塊世代が定年を迎え、退職される方が多くいらっしゃったために小学校教諭が不足し始めたという理由が上げられます。また、少人数学級の実現を目指す国は、公立小学校の1クラスあたりの上限人数を令和7年度までに40名から35名に全学年引き下げることを決定していることから、今後も小学校教諭の担い手は必要とされることが予想されます。
採用人数の増加について新卒採用での増加幅が大きく、令和元年度の統計を見ると小学校教諭の年齢層は、30歳未満の比率が令和元年で19.2%と、平成28年度に比べて2.0ポイント上昇しており、50歳以上の比率は33.9%と、同じく平成28年度に比べて2.4ポイント低下しています。^※2
このように小学校教諭の採用状況は、過去と比較して多くの採用者数を必要としていることが分かります。

【※1】参考ページ：文部科学省ホームページ「令和3年度（令和2年度実施）公立学校教員採用選考試験の実施状況について」
（https://www.mext.go.jp/content/20220128-mxt_kyoikujinzai01-000020139-1.pdf）
【※2】参考ページ：文部科学省ホームページ「令和元年度学校教員統計調査（確定値）の公表について」
（https://www.mext.go.jp/content/20210324-mxt_chousa01-000011646_1.pdf）

「教師不足」と呼ばれる要因

このように、小学校教諭は採用者数が増加傾向にありますが、世間では「教師不足」が問題視されています。
教師不足とは学校に配置される教員の数が、定められた数を満たし難い状況を指します。
教師不足には、下記のような要因が挙げられます。

世代交代
産休・育休取得者数の増加
特別支援学級数の増加
病休者数の増加
小学校一学級あたりの段階的な定員数引き下げ

また、育休や産休をしっかり取得できる環境であることから、教員が妊娠や出産を機に休職することもあり、一時的に欠員が出てしまうこともあります。
そのため、国や各都道府県では、下記のように小学校教諭の確保に向けた活動を行っています。

複数年を見越した計画的な採用
講師登録者数の増加に向けた具体的な取り組み
年齢構成を鑑みた採用・配置・人事面の取り組み
研修制度の充実

教育の質を落とさず、多くの学生に小学校教諭を目指してもらえるかが今後の課題と言えます。

参考ページ：文部科学省ホームページ「「教師不足」に関する実態調査」
（https://www.mext.go.jp/content/20220128-mxt_kyoikujinzai01-000020293-1.pdf）

おわりに

本記事では、小学校教諭の採用状況について、教師不足と呼ばれる現状とあわせて解説しました。
2025年までに公立小学校の1クラスあたりの上限人数を40名から35名に全学年引き下げることを決定しているため、教員採用者数を増やしている自治体も多く、今後も小学校教諭の需要は高まることが予想されます。
また、小学校で働いている方の年齢層を見ると、若い世代が増えており、50歳以上が減っていることもあり、採用の門戸は広がっていると言えます。
児童に関わる仕事に長く携わりたい方は小学校教諭を目指してみてはいかがでしょうか。