早期体験実習:高齢者施設の実習

本学看護学科には、1年生前期の最後に早期体験実習という臨地に出る実習があります。この実習では病院、保育所、高齢者施設で働く専門職の役割や利用されている患者、子どもとその保護者、利用者の置かれている状況、各施設の役割や機能について学び、これから看護学生として学んでいく上での自己の課題を明確にすることが目標となっています。

今年は7月27日から31日の1週間でしたが、COVID-19流行のため、病院、高齢者施設での実習を学内で、保育所での実習を本学の関連施設である金蘭会保育園で実施しました。その中から高齢者施設の実習について紹介します。

午前中は実習施設で受けるのと同じような施設のオリエンテーションを実施しました。実習を受け入れていただくはずだった介護老人保健施設と特別養護老人ホームの紹介や実際の活動内容を、施設から頂いているオリエンテーション用の資料やホームページをみながら学習しました。また、動画教材を使用して、高齢者の施設で実習する際の注意事項についても学習しました。

午後からは施設を利用されている高齢者の方々を少しでも理解できるよう、高齢者模擬体験を行いました。高齢者模擬体験スーツを着て高齢者になる学生と、介助役の学生、観察役の学生で1組になり、学内の様々な場所で体験をしました。

高齢者体験① 高齢者体験②

小さなお薬をシートから出すのも一苦労。視力も落ちるのでお薬の袋に書いてある文字も読みにくいです。

高齢者体験③ 高齢者体験④

高いところのものを取ろうと手を伸ばすのも大変です。学生は落としそうになり、取るのを諦めていました。畳スペースでは、一旦座ると立ち上がることが難しそうでした。中には座った姿勢から立ち上がろうとして後ろに転倒しそうになった学生もいました。

高齢者体験⑤

白い壁が多い学内の廊下ですが、薄暗い廊下だと、周囲の景色がすべて同じ色に見えて、壁に体をぶつけてしまう…という意見もありました。写真はありませんが、階段昇降にもチャレンジしています。体が重く途中で休みながらの学生がいたり、壁と同様、階段の段差がよく見えずつまずきそうになり、介助者に助けられながら1フロアの移動を行っていました。

高齢者体験⑥ 高齢者体験⑦

これはがま口の財布から小銭を取り出しているところです。お財布の中は黒っぽい布地で、特に10円玉が見えにくいようです。小さな小銭を取り出すのも、お薬を出すのと同じで細かい作業なので時間がかかっていました。自販機に飲み物を買いに行ってみましたが、すぐ隣の建物までの移動が億劫で、移動したくなさそうな学生も…

このように、どれもよくある生活動作なのですが、高齢になって様々な機能が落ちると、1つ1つの動作がとても大変になります。学生は自分の祖父母を大事にしよう、街中で高齢者を見かけたら声をかけよう、電車の中では席を譲ろう、と口々に話していて、私たちが大切にしている「ココロかんご」を体感してくれたようです。

高齢者体験後は1日の振り返りと学びの共有です。グループワークをした成果を皆の前で発表しました。発表の方法も工夫しながら頑張ってくれていました。下の写真をご覧の通り、マスクを着用し互いの距離を取りながらでしたが活発な意見交換ができました。

高齢者体験⑧

早期体験実習はたった1週間しかありません。1年生は初めてのことなので途中で体調を崩すこともよくあります。今回の実習でも欠席者はいましたが、後日、学内で追実習も行い、無事に全員の実習を終えることができました。体調管理も大切なことだと学んでくれたのではないかと思います。

今年度の実習の進め方はコロナの影響で異例尽くめでしたが、看護専門職として感染予防対策を十分に行い、withコロナ仕様のプログラムで学びの多い実習となりました。これからも感染症に注意して少しでも学びの多い学生生活を送れるよう、教員も学生とともに努力していきたいと思います。

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