コロナ禍の新学期開始 学修するとは

食物栄養学科の石川です。

前回投稿時は非常事態宣言が出て、その後約2か月間の自宅学習となりました。本学では6月から対面授業を開始し、夏休みを挟んで9/21から予定通り後期の授業が始まっています。新型コロナウイルス感染症は未だ完全に収束することなく、不自由な生活が続いていますが、感染拡大防止に最大限の留意を払いながら、学修を継続していくことが大事だと考えています。

食物栄養学科では、今年度から10人の教員が各学年6 ~ 8人ずつを担当する縦割り担任制とし、学年間の交流を図るとともに、教員がより身近に学生をケアできるようになりました。登校再開後の6月に1 ~ 3年生全員と個別面談し、自宅学習中の悩みを聞き出し、問題解決を図りました。4年生は卒業研究担当教員が日々フォローしていますが、卒研を履修していない学生とは面談しました。このような長期間の自宅学習は、学生も教員も未だ経験のないことなので、戸惑った学生も多数いたようです。

夏休み中には前期の成績が揮わなかった学生と再度面談しましたが、勉強が好きじゃない、集中力が続かない等、成績が向上しない原因は本人も自覚できているが、勉強という行動に移せないという悩みを抱えているように見受けました。しかし、よく話を聞くと彼女たちも自分の好きなことや興味のあることは、自分で本を読んで調べたり、ネットで検索したりして見識を深めています。要するに試験のための勉強は好きじゃないが、新しい知識を得るための探求欲はしっかりとあることがわかったのです。

確かに勉強が嫌いじゃない学生でも、試験勉強が好きな学生は少ないのではないでしょうか。自分のことを振り返った時、学生時代の方が圧倒的に楽しかったとしても、卒業して試験がなくなったのは嬉しかったと感じます(卒業後も試験がある場合もあるとは思いますが)。今でもよく覚えているのは、試験前には必ず試験勉強以外の勉強をしたくなるということです。一種の逃避行動なのでしょうが、私たちはやっぱり好きなことをやりたがる習性があるのでしょう(好きこそ物の上手なれ、という諺もあります)。勉強に無駄な勉強はありません。寧ろ一見無駄に見える学修が教養を育てます。好きなこと、興味のあることを探求するのは大変有意義なことだと思います。

その一方で、私たちは必要に迫られないとなかなか実行できないという習性をもっています。長年英語を勉強していてもさっぱり身に付かないのに、いざ海外留学や海外赴任が決まったら必死で勉強するというのは良い例でしょう。食物栄養学科の学生は管理栄養士資格を取得するために国家試験に合格する必要があります(栄養士資格は卒業時に得られます)。職種によっては、管理栄養士資格取得前提で内定が出ている場合もあるので、4年生は今必死で勉強しています。こんなに勉強できるのなら、もっと早くからしておけば良いのに、と教員同士が顔を見合わせるのは、もはやこの時期の風物詩とも言えるでしょう。

卒業後の長い人生を考えれば、国家試験に合格するための勉強だけでは不十分だということは明らかです。知識・学修には必ず枝葉(一見無駄に見える学修)が必要で、その枝葉は多ければ多いほど良いでしょう。このような学修は、学生時代だけでなく私たちが生涯続けていく類のものだと思います。多様な学生の個性を尊重しながら、皆が前進して行けるような学科教育を実践できるよう努力したいと思います。

シェアする

トップに戻る