卒業研究を紹介します(小林ゼミ)

こんにちは。

食物栄養学科の小林です。

2019年の4月より、小林ゼミでは3名の4年生が卒業研究に取り組んでいます。小林ゼミは今年から始まりましたので、記念すべき第1期生です。

現在取り組んでいる研究テーマは、『腸管上皮細胞に対する食品成分の効果』です。

急に難しい感じになってしまいましたが、腸管上皮細胞というのは、私たちの腸の表面を覆っている細胞で、食べ物に含まれる栄養素を吸収するという重要な働きを持っています。また、腸の中というのは、私たちの体からするといわば‘外界’で(口からつながっていることを考えると分かりますね)、腸管上皮細胞は、そんな外の世界と体の内側を仕切るバリアの役割も担っています。

そんな大切な役割を持つ腸管上皮細胞に対して、栄養素の吸収効率を高めたり、バリアの機能を高めたりするような、良い効果を持つ食品成分はないか実験で探索する、というのが私たちの目的です。

今回は、実験に使う材料や道具を紹介しますね。

まずは、培養細胞のCaco-2(「カコツー」と読みます)。培養細胞は、ヒトの体の外に取り出しても、適切な培養液に浸して適切な温度で維持すれば増やすことのできる細胞です。
培養細胞にはいろいろな種類がありますが、Caco-2は、ヒトの腸管上皮細胞と同じような性質を持ちます。培養皿の中で敷石状に並んで増えていくのが特徴です。

Caco-2細胞を顕微鏡で見た像

Caco-2細胞を顕微鏡で見た像

このCaco-2細胞を培養して、培養液に食品成分を加えたときに、細胞の働きにどのような影響があるのかを調べる、というのが実験の基本的な流れです。

そのときに使う培養容器が、96ウェルプレート。ハガキ大のプラスチック容器に、96か所の穴(ウェル)があります。このそれぞれの穴に細胞を入れて培養すれば、穴ごとに違う食品成分を加えることができるので、一度にたくさんの食品成分の効果を試すことができるのです。

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96ウェルプレート

このような小さな容器に、決まった量の溶液を量り取って入れる装置が、マイクロピペッター。マイクロリットル(1ミリリットルの1000分の1)の単位で正確に液体を量り取ることができる精密機器です。

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マイクロピペッター3種。左側の青や黄色のものは、先端に付けて使うチップです。

大きさが違う3種類は、それぞれ量り取る守備範囲が違って、上からそれぞれ200~1000マイクロリットル用、20~200マイクロリットル用、2~20マイクロリットル用です。正確な実験を行うためには、マイクロピペッター操作を正確に行う必要があります。

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実験中

こちらの写真は実験しているところ。食品成分の候補としては、香辛料や野菜の抽出物を試しています。

さて、どんなデータが得られるでしょうか?研究の結果が出るまでには時間がかかります。12月の発表会まで、頑張ります。

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