2020年度新学期開始

なんと半年振りの投稿です。石川です。

学科教員には何でもどんどん投稿してくださいと煽っている割には、とんとご無沙汰しておりました。しかもいつも写真なし、長文。昨年度1年間を振り返れば、本当に色々なことがあったはずなのに、余りブログでお知らせできていなかったかもと少し反省しています。吹田市の健康展参加、吹田くわい料理教室開催、吹田市認知症カフェ交流会・料理教室開催、すいぱんの商品化決定、模擬患者が参加した実践的授業などなど、ブログで紹介しきれていないイベントがあれば、ここで名前だけ紹介です(幾つかは紹介されていると思いますが)。さらにこれからすいぱんの販売、EATREND LAB.展開や大阪産・包括連携協定など、何より新たに導入した新カリキュラムが始動して大々的に新学期が開始するはずでした。

コロナ、コロナ、コロナ、年が明けてから耳にし始め、1月末には相当騒がしくなっていたはずです。2月から春休みに入る学生に直前の授業で新型コロナウイルス(当時はそう呼ばれていた、SARS-CoV-2のこと)を講義した記憶があります。そのコロナが猛威をふるって、本日4/8から5/6まで本学学生は登校禁止となりました。学生も教員も不安な時期を過ごしていますが、このコロナウイルス禍中の現在の大衆心理(大衆だけじゃないかも)を医学的に考察してみましょう。

人は強い恐怖を感じると脳の奥にある古い脳、少し難しい名前ですが偏桃体や大脳辺縁系と言われる領域が興奮し、恐怖からの緊急回避行動をとります。一方、脳の前頭葉・前頭前野と言われる領域は、私達の感情や衝動を抑える制御中枢として働きます。この領域は、理性が感情を抑えて社会的な営みを構築する、いわば人を人たらしめている大事な領域です。分かりやすい例で言うと、今目の前に強盗がいる状況(急性ストレス)では偏桃体が興奮してとっさの行動が必要です(考えていては襲われてしまうでしょう)。しかし、例えば現在のCOVID-19流行に関して言えば、もっともっと長期的なストレスに晒されることを想定する必要があります。ウイルスや感染症の知識に乏しい多くの人たちは、不安を増長する不正確な情報に惑わされ、急性ストレス反応(思考と感情を高度に制御する前頭前野の支配力が弱まり、古い脳に支配される)を起こしてしまいます。このようなパニック障害が大勢の人々に引き起こされると、普段抑え込んでいる人々の衝動が解放され、大きな社会不安を引き起こすのです。日本でも少し前までトイレットペーパーが、現在でもマスクやエタノールが不足しているようです。こういう時こそ、前頭前野を働かせて、冷静に行動する必要があると思います。

実はこのような現象は常に起こっていて、食品学や栄養学の分野では、錯綜する情報に惑わされてスーパーマーケットからバナナやトマトがなくなったりしているのです。昔と異なり、情報を入手することは容易になっています。正確で有益な情報を取捨選択して、活用する能力を養うことが大切です。本学科の学生は、少なくとも食品・栄養学についてはエビデンスに基づいた正確な情報を取得する術を4年間かけて身に着け、それを必要とする一般社会の人たちに還元・啓蒙していってくれると期待しています。

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