卒業研究を紹介します(2020年度小林ゼミ)

こんにちは、食物栄養学科の小林です。

2020年の4月より、小林ゼミでは4名の4年生が卒業研究に取り組んでいます。

私たちの研究テーマは、『腸管上皮細胞に対する食品成分の効果』です。

「腸管上皮細胞」というと難しく聞こえますが、要するに私たちの腸の表面を覆っている細胞のことです。この細胞は、食べ物に含まれる栄養素を吸収するという重要な働きを持っています。また、腸の中というのは、私たちの体からするといわば外界で、腸管上皮細胞は、そんな外の世界と体の内側をへだてるバリアの役割も担っています。何らかの原因でこのバリアが弱くなってしまうと、腸内細菌や有害物質など、通常であれば体の中に入らないものが侵入してしまい、病気の原因になると考えられています。

そこで今年の卒業研究では、腸のバリア機能を高める食品成分を探すことを目的として、研究を行っています。実験に使うのは、培養細胞のCaco-2(「カコツー」と読みます)。培養細胞は、体の外に取り出しても、シャーレの中で適切な培養液に浸して適切な環境で維持すれば増やすことのできる細胞です。培養細胞にはいろいろな種類がありますが、Caco-2は、ヒトの腸管上皮細胞と同じような性質を持ちます。

このCaco-2細胞の培養液に食品成分を加えたときに、バリア機能が高まるものはないだろうか?食品成分の候補として、植物由来の精油や野菜の抽出物を試しています。

実験中。培養細胞の取り扱いは、無菌操作で行います。

実験中。培養細胞の取り扱いは、無菌操作で行います。

今年は、4月から6月まで休校期間があって研究の開始が遅れてしまいましたが、その後の努力の甲斐あって、とある精油にバリア機能を高める効果があるかも・・・?という結果が得られました。どのようなメカニズムでCaco-2細胞に作用しているのか、といった点も追究しています。

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バリア機能を測定しているところ。

研究の結果は、12月23日に開催される卒業研究発表会で発表する予定です。

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